問題文及び解答は経済産業省のHPにある「過去の計量士国家試験問題」から引用しています。
解説は私の見解になります。解説が間違っている可能性もありますので、予めご了承ください。
問11~15の内容は?
「環境計量に関する基礎知識(化学)」の問11~15の内容は以下の通りです。
- 問11 有機化学(溶媒抽出)
- 問12 有機化学(原子の軌道)
- 問13 有機化学(物質の反応)
- 問14 基礎化学(化学の歴史)
- 問15 物理化学(蒸発熱)
問11 有機化学(溶媒抽出)
問11
水にわずかに溶け、ジエチルエーテルによく溶ける非電解質Aの水溶液からジエチルエーテルを使って溶媒抽出を行うとき、ジエチルエーテル相、水相のそれぞれにおけるAの濃度をCe(g L-1)およびCw(g L-1)と表すと、分配比DはD=Ce/Cwで示される。W0(g)のAを溶かしたVw(mL)の水溶液をVe(mL)のジエチルエーテルで抽出したとき、水溶液中に残っているAの質量W(g)を求める式として、正しいものを一つ選べ。ただし、Ce>Cwであり、抽出後の溶液の体積はジエチルエーテル相、水相ともに変わらないものとする。
正解と解説
抽出後、ジエチルエーテルに残る非電解質Aは、(W0-W)[g]、水溶液に残るAはW[g]であるので、次の式が成立します。
D={(W0-W)/Ve}/(W/Vw)
これを変形させると、
W=VW/(VW+DVe)×W0
となるので、2が正解
問12 有機化学(原子の軌道)
問12
下記の構造式において、sp2混成軌道をとる炭素原子の個数として、正しいものを一つ選べ。
- 2個
- 4個
- 5個
- 6個
- 8個
正解と解説
4 6個
sp2混成軌道は、2s軌道と2p軌道が混成して、平面でお互いに120℃方向に広がった軌道で、炭素では二重結合が見られます。したがって、ベンゼン環にある6個の炭素がsp2混成軌道を取ります。
問13 有機化学(物質の反応)
問13
カルボニル化合物の反応に関する(ア)~(エ)の記述の中から、正しい記述を全て選んでいるものを1~5の中から一つ選べ。
- (ア)アセトアルデヒドのアルドール(Aldol)反応では、主生成物として炭素数4のカルボン酸が得られる。
- (イ)グリニャール(Grignard)反応は水中で行われる。
- (ウ)クレメンゼン(Clemmensen)還元は酸性下で行われる。
- (エ)ベンズアルデヒドのカニッツァーロ(Cannizzaro)反応による生成物のうちの一つは、ベンジルアルコールである。
- (ア)
- (イ)
- (イ)と(エ)
- (ウ)と(エ)
- (ア)と(イ)と(ウ)
正解と解説
4 (ウ)と(エ)
(ア)アルドール(Aldol)反応とは・・・
アセトアルデヒドとアルコール溶媒+水酸化ナトリウムのような塩基性条件下で、アセトアルデヒドがアルドール(アルデヒド+アルコール)に変化する反応をアルドール反応という。
アルドール反応ではカルボン酸(R-COOH)は生成されないので、誤り。
(イ)グリニャール(Grignard)反応とは・・・
ハロゲン化アルキル(アルケニル、アリール)が、無水エーテルやテトラヒドロフラン(THF)溶媒中で金属マグネシウムと反応してハロゲン化アルキルマグネシウムを生成する反応をグリニャール反応という。
グリニャール反応は無水エーテルやテトラヒドロフラン(THF)溶媒中で起こるため、誤り。
(ウ)クレメンゼン(Clemmensen)還元とは・・・
亜鉛アマルガムー塩酸などの強酸性の溶媒を用いて、ケトンやアルデヒドのカルボニル基(-CO-)を還元してメチレン基(-CH2-)にする反応をクレメンゼン還元という。
クレメンゼン還元は酸性下で行われるため、正しい。
(エ)カニッツァーロ(Cannizaro)反応とは・・・
水素原子とは反応していない炭素原子を含むアルデヒドを、塩基性条件で加熱すると、カルボン酸とアルコールが生成する反応をカニッツァーロ反応という。
ベンズアルデヒドのカニッツァーロ反応は、安息香酸とベンジルアルコールが生成するため、正しい。
問14 基礎化学(化学の歴史)
問14
下に挙げた4名の化学者と代表的業績(ア)~(エ)との組合せとして、正しいものを一つ選べ。
代表的業績
- (ア)導電性高分子の発見
- (イ)ベンゼンの構造式の提唱
- (ウ)ビニロンの合成法の発明
- (エ)硝酸の工業的製法の発明
正解と解説
1 (ア) (イ) (ウ) (エ)
問15 物理化学(蒸発熱)
問15
エタノールは、1気圧で78.3℃の沸点を示す。この温度におけるエタノールの蒸発熱が39.3 kJ mol-1であるとすると、蒸発エントロピーは幾らか。次の中から最も近いものを一つ選べ。
- ー502 J K-1 mol-1
- ー112 J K-1 mol-1
- 0 J K-1 mol-1
- 112 J K-1 mol-1
- 502 J K-1 mol-1
正解と解説
4 112 J K-1 mol-1
エントロピーとは、絶対温度Tの物体が熱量Qを受けたとき、物体のエントロピーはQ/Tだけ増し、熱量Q’を放出するときエントロピーはQ’/Tだけ減少すると定める。
コトバンクより引用
S=Q/T=39.3×1000J mol-1 / (273+78.3) K = 112 J K-1 mol-1
となります。
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